Stanza della Luna

雑多な詩集

ぽつん

順調な日々が流れて 

待ちこがれる前に 週末が来た

残ってる仕事もあるけど 

とりあえず自分のために過ごそう

 

読みたい本 練習したい曲 メールの返事

やりかけの会話教材 新しいケーキのレシピ

撮りためたドラマ 

そして、私

 

ぽつん、とひとり ぽつん、と雨

いろいろ注ぎ込んでも 心はいっぱいにならない

ぽつん、とひとり ぽつん、と雨

いろいろはりつけても 中身は猫背の私なの

 

いつしか 処世術ってのも 

何とか 身に付いたような気がした

実際は 相も変わらず 

人間関係はおぼつかなくて

 

ぽつん、とひとり ぽつん、と雨

やっぱり人は果てなく 孤独な存在ってことかな

ぽつん、とひとり ぽつん、と雨

ごろんと寝ころがって 天井見ながら思った

 

 

 

perplexed

あなたの心なんて読めない

 

近づけたと思ったら、離れていくし

遠いと思ったら、近くにいたりする

 

駆け引きなのかもわからない

ただ振り回されて

ただ不安で

もうやめちゃおうかって思う

 

もうやめちゃえたら楽なんだけど

 

あなたが憎いような

もどかしさ

 

それでも

 

やっぱり 嫌いになるのは難しくて

本当にバカバカしいけど

また同じこと繰り返す

 

あなたの心なんて読めない

 

私の心

あなたにどれだけわかるのかな

 

 

 

 

散る

光なのか 雨なのか 時間なのか

 

桜の花びらは 音もなく散っている

 

あんなに軽く

空気にくるくると 手を振りながら

舞っている

 

小さくうすい 1ひらの花びらの重ささえ

宙にとどまることはできなくて

 

地面に降りる

音もなく

水面に降りる

音もなく

 

1ひらずつ

音もなく

1ひらずつ

音もなく

 

私は息をとめて

散る桜を見る

 

散っているのが

桜なのか

時なのか

わからなくなる

 

光なのか 雨なのか 時間なのか

私の心なのか

わからなくなる

さよなら

「すきです」と「さよなら」と言うのは どっちが難しいんだろう

好きだから 一緒にいた君は 悲しく顔曇らすだろう

 

降り始めた小雪が 冬のホタルみたいに舞うよ

君と見るものはいつも そんなふうにステキだったよね

 

さよなら 明日は君の僕でも 僕の君でもない

さよなら そのための勇気が 償いになるだろうか

 

僕たちは一緒じゃない方が 本当の自分でいられる

情熱が冷めるのも一緒なら こんなにつらくないのに

 

君といても心が うわの空になってしまって

君を傷つけたくなくて ついた嘘が僕を傷つけた

 

さよなら 明日は君の僕でも 僕の君でもない

さよなら 前に進む勇気 そう受け取って欲しいよ

 

Hurting you is the last thing that I want to do.

Please don't cry, please don't cry, baby...

憎んで忘れてもいいよ 僕が覚えているから

 

さよなら 明日は君の僕でも 僕の君でもない

さよなら そのための勇気が 償いになるだろうか

旅立ち

めったにもらわない花束だから

ドライフラワーにして残した

誰からもらった花なのか

もう忘れたころ

次の別れが来る

 

この町がこわくて

早く離れることを望んでた

 

窓から見える景色が

日常に変わったころ

旅立ちの時が来る

 

この町を離れる 勇気を下さい

 

不安が波のように押し寄せて

やさしい人の笑顔ばかり 浮かんでしまう

 

この町を離れる 勇気を下さい

 

やさしいことばは うれしい

やさしいことばは かなしい

やさしい思い出は うれしい

やさしい思い出は かなしい

 

やさしいことばも思い出も

元は日常のstruggle

また新しい日々がはじまる

 

だから大丈夫

きっと大丈夫

 

またあたらしく 頑張ればいい

 

この町を離れる 勇気はいらない

 この町は私の 一部になるから

 

雨の音がする 全てが穏やかに濡れる

昨日まで着てた真冬のセーターじゃ もう笑われる

だけど

 

そんなに急に春にならないで

 

やっぱり もう少し この町の日常を

もう少し 下さい

 

遠くから この町を愛する 強さを下さい

下弦の月

駐車場の空に浮かび上がる 

春の下弦の月

切れそうに細くて

消えそうに淡くて

ぼんやりと浮かぶ

 

悲しみや寂しさを受け止める

女神の手のひら

全ての涙を注ぐ杯

 

だけど今夜の月は

欠けたはずの満月と同じだけ

ぼんやりとした悲しみ、寂しさ、涙の影

抱えきれないほど映してる

 

ここにも私の涙を注ぐ場所はなくて

 

満月のような寂しさを胸に抱える

私とよく似た春の下弦の月

ぼんやりと浮かぶ

 

stories

ある日電車の 同じ車両で会った 

とめどなく涙を流していた人

赤信号の 道の向こうで花を 

大事そうに抱えて待っていた人

 

私と関わりのないはずの 

遠い生活の一コマなのに

 

そんな風に 街のどの風景も 切り取ればそれぞれの物語になる

そんな風に 街のどの風景も 痛いほど 悲しみや喜びにあふれている

 

一人バス待つ 重い荷物の老婆 

真っ黒に日焼けした交通整備員

上着を脱いで空仰ぐ営業マン 

ギターケース背負って笑う少年

 

この手で受け止めるには 重く 

通りすぎるには よく似すぎている

 

そんな風に 街のどの風景も 切り取ればそれぞれの物語になる

そんな風に 街のどの風景も 痛いほど 悲しみや喜びにあふれている