Stanza della Luna

雑多な詩集

日常

日常は 打ち寄せる波のように 容赦なく押し寄せ 泳ぎ続けないと のみ込まれてしまう 日常は 絶えず新たな難題を生み出し 得体の知れない魔物を生み出し それと戦うために 夢を見る間もない 日常は 夜明けと共に世界を照らし 立ち止まりそうな時 それを許さな…

あなたのいない世界

カーテンから差し込む光 ニュースを読むアナウンサーの声 ステンレスボトルに注ぐ紅茶の香り まるでいつもと同じ朝 一人暮らす部屋の窓から見る 少しくすんだ空の薄い青 川辺を吹き渡る風の色 深くなる木々の緑も 全部いつか見たのと同じ だけど、この世界に…

うかれる権利

うかれて 傷ついて 落ち込んで 反省して またうかれて 傷ついて 落ち込んで 反省して そんなことを繰り返して いつしか 傷つかないために 賢く臆病に生きる 術を身につけた 期待しなければ 失望することもないもの うかれる人が愚かに見えて うかれる人が本…

なくしものの国

なくしたものは さがしても、さがしても 見つからないのに ある日ひょっこり もう さがしたはずの場所から 出てきたりする まるで「ボクのありがたさがわかったでしょう?」と 私をこらしめたかったみたいに きっと世界のどこかには 「なくしものの国」があ…

雨音

雨音が屋根をたたく 「もう冬も終わるよ」と地面をぬらす わかってる 春は近い でも あと少しだけ このままがいい 4月から あなたがいない場所で生きる 悲しみに耐える力を下さい 一人でもちゃんと 笑って生きていけるように あなたがいない場所でも 私らし…

記憶の重さ

みんなが覚えてること 私だけが覚えてなかったり 私が覚えてること みんなは忘れてしまっていたり 同じ時を 過ごしていても 思い出は 同じじゃない 価値観は 人それぞれだから それは 当たり前だけど 私にとって 大切な思い出 あなたが忘れてしまったと 知っ…

Open Sky

何万人もの人波が どこかの神社に 押し寄せるころ こんな郊外の片すみで 見渡す限り 誰もいない 道くさばかりしてる犬と散歩 冬の野原は 暖かく 透明に 広がる そして 少し視線を上げると 遮るもののない 青い空が Open Sky 白い雲の筋をまとって 吸いこむよ…

さんぽみち

1月の川原沿いを ぶらぶらと歩く 枯れ草の間を 深い青が 細く流れる 見上げた空は 雲一つなくて 強い風に ゆられて 光の 青い波長が あふれてる ぶらぶらと歩きながら 遠くを見て 深呼吸してみる 優しい麦わら色の 1月のさんぽみち

あのころの未来

からっぽの電話ボックスは どこにも通じていない あのころ緑の受話器と シルバーのダイヤルで どこにでもつながれたのに 21世紀のもしもボックスは 電話ボックスの形をしていたのに あのころ描いていた未来と 似ているようで 似ていない現在 見えない 言葉…

Thinking of you

あなたのことばかり 考えているうち もういくつもの 季節を見送った あなたのことばかり 考えているうち 公園の木は すごく背が伸びた あなたのことばかり考えているうち 渡り鳥は 暖かい国へ旅立った あなたのことばかり考えているうち 町の景色も 少し変わ…

変わらないもの

変わらないものを さがして さがしつかれて 時に 何をさがしてたのかも わからなくなって 変わらないものは 日々のすき間に 垣間見えて でも その姿を追いかけると そこには何もない 変わらないものを 信じて 愛や永遠を求めて 人は迷子になる 変わらないも…

ふえるもの へるもの

ふえるもの age へるもの time left for me ふえるもの distance to home on my way from home へるもの distance to home on my way home ふえるもの resignation へるもの expectation ふえるもの puzzlement へるもの innocence ふえるもの people I don'…

Anger

私がこんなに怒っているのは 誰かを傷つけたいからじゃない 私がこんなに怒っているのは 誰かを黙らせたいからじゃない 私がこんなに怒っているのは 誰かを脅えさせたいからじゃない 私がこんなに怒っているのは 放っておいて欲しいからじゃない 私がこんな…

あの夏

夏の夜 花火のにおいあのころ一番 好きだった白いワンピース「街灯り 色とりどりの 光がとぎれる あそこがね 海岸線だよ」 全てが今は あの夏の魔法 あの浜の名前も もう思い出せない 夜の海 胸がさわいだ どうしてあんなに 何もかも 美しかったの海に散る …

The Only Stage

いつも私は疲れると 逃げることしか見えなくなる 千も理屈を考えて 完璧な逃げ道を探す 花は咲く時を知り 現実はあまりに絵空事みたいで 花は散る時を知る 当たり前の顔で知っている 永遠に続くような毎日に 全てが解決するような 完璧なゴールなんかない そ…

夢の木

僕たち ないものを 持ちよったら そこから 見たこともない 勇気が 芽吹いた 僕たち あるものを 持ちよったら そこから 光輝く 希望が 花開く 僕が 忘れかけてた 大切な何かは 君の 純粋な瞳に 宿ってたんだ Hand in hand そして 大空に向かって 伸ばす 僕た…

白い花

忘れられない花がある 名前も知らない花だけど あなたと土手に腰かけて 言葉にならない夕日を見た 短い草の上についた あなたの左手のとなりに 小さく咲いた白い花 あの頃の心のさざ波も 一瞬を愛しむ情熱も 夕焼けに染まる あの花が 今もどこかで覚えてる気…

君へうたう

明るい うすみどりの 風が 吹いてくる 初夏の 森を ふたり 歩きながら 話した 「やっぱり ここはいいね」 君は 言ったけど やがて 風は止んで 君の旅は 続いた 僕は この町で生き 時には 君を 想ったりしてる 君の 君のためにうたう このうたが どうか 君に…

失いたくないもの

私には 失いたくないものがある それを失いたくないから 私は強くなって それを失いたくないから 私は弱くなる それを失っても 私は私でいられる だけど それを失うことは 世界の終わりみたいだ 私からそれを奪うものと戦うため 私は強くなって 私からそれを…

2月12日

バッグの奥から出てきた 去年の2月12日の 寄付の領収書 今年の2月12日には ネットに言葉をつづり始めた あなたに会えなくなってから 巡ってくるあなたの誕生日に 私は何かを残そうとしている 本当はあなたにおめでとうと 言いたいだけなのに 伝えあぐ…

優しいだけのひと

あなたは優しいだけのひと 優柔不断で 頼りにならないし あんまり面白いこと 言えるわけでもない 自分の考えを はっきり言えないし なんだか世の中に おびえてるみたい だけど、 あなたは誰より優しくて 落ち込んでると さりげなく声をかけてくれる あなたに…

ぽつん

順調な日々が流れて 待ちこがれる前に 週末が来た 残ってる仕事もあるけど とりあえず自分のために過ごそう 読みたい本 練習したい曲 メールの返事 やりかけの会話教材 新しいケーキのレシピ 撮りためたドラマ そして、私 ぽつん、とひとり ぽつん、と雨 い…

perplexed

あなたの心なんて読めない 近づけたと思ったら、離れていくし 遠いと思ったら、近くにいたりする 駆け引きなのかもわからない ただ振り回されて ただ不安で もうやめちゃおうかって思う もうやめちゃえたら楽なんだけど あなたが憎いような もどかしさ それ…

散る

光なのか 雨なのか 時間なのか 桜の花びらは 音もなく散っている あんなに軽く 空気にくるくると 手を振りながら 舞っている 小さくうすい 1ひらの花びらの重ささえ 宙にとどまることはできなくて 地面に降りる 音もなく 水面に降りる 音もなく 1ひらずつ …

さよなら

「すきです」と「さよなら」と言うのは どっちが難しいんだろう 好きだから 一緒にいた君は 悲しく顔曇らすだろう 降り始めた小雪が 冬のホタルみたいに舞うよ 君と見るものはいつも そんなふうにステキだったよね さよなら 明日は君の僕でも 僕の君でもない…

旅立ち

めったにもらわない花束だから ドライフラワーにして残した 誰からもらった花なのか もう忘れたころ 次の別れが来る この町がこわくて 早く離れることを望んでた 窓から見える景色が 日常に変わったころ 旅立ちの時が来る この町を離れる 勇気を下さい 不安…

下弦の月

駐車場の空に浮かび上がる 春の下弦の月 切れそうに細くて 消えそうに淡くて ぼんやりと浮かぶ 悲しみや寂しさを受け止める 女神の手のひら 全ての涙を注ぐ杯 だけど今夜の月は 欠けたはずの満月と同じだけ ぼんやりとした悲しみ、寂しさ、涙の影を 抱えきれ…

stories

ある日電車の 同じ車両で会った とめどなく涙を流していた人 赤信号の 道の向こうで花を 大事そうに抱えて待っていた人 私と関わりのないはずの 遠い生活の一コマなのに そんな風に 街のどの風景も 切り取ればそれぞれの物語になる そんな風に 街のどの風景…

春の魔女

雪と氷に閉ざされた町に 優しい魔法が忍び込む 静かな夜に屋根を打つ雨音に 凍り付いた全てが 溶けだす気配満ちる 重く固い根雪も 形変え しずくになって 地面の中 音も立てず 小さな種が目を覚ます 縮こまった木々の枝が 花を咲かす準備を急ぎ出す 今年の春…

思い出せない

更地に新しい建物が建つ ほんの数ヶ月前までそこに何があったのか 思い出せない 心をふるわせる コトバの綾が 確かに横切った なのにその模様が どうしても思い出せない 胸を焦がして想ってた人とすれ違う その人に焦がれたのか 自分で作り出した幻想に恋し…