Stanza della Luna

雑多な詩集

思い出せない

更地に新しい建物が建つ

 

ほんの数ヶ月前までそこに何があったのか

思い出せない

 

 

心をふるわせる

コトバの綾が 確かに横切った

 

なのにその模様が どうしても思い出せない

 

 

胸を焦がして想ってた人とすれ違う

 

その人に焦がれたのか

自分で作り出した幻想に恋したのか

もうそこにときめきはなくて

 

愛し方が思い出せない

 

 

日曜だというのに早起きして

掃除や洗濯、とくるくる働いた

 

なのに 最近 まぶたが開かない

 

やるべきことはある

 

なのに 昼過ぎまで 

起き出すすべが思い出せない

 

 

しょっちゅうおどけて はしゃいでいた

 

でも最近は ひたすら自分を保つ

 

架空の自画像を 失うのが恐い

自分を捨てる あの瞬間が思い出せない

 

 

思い出せない過去は 私のさなぎだったのか

それとも逆らう流れの背後で

ただ深い淵に 落ちて行ったのか

いつだったか 小さな結論に行き着いた 気がするけど

思い出せない

思い出せない