Stanza della Luna

雑多な詩集

なくしものの国

なくしたものは 

さがしても、さがしても 

見つからないのに

 

ある日ひょっこり 

もう さがしたはずの場所から 

出てきたりする

 

まるで「ボクのありがたさがわかったでしょう?」と

私をこらしめたかったみたいに

 

きっと世界のどこかには 「なくしものの国」がある

 

いいかげんな持ち主に

忘れさられたもの 

ぞんざいに扱われたものたちが

 

「もう帰るものか」

「うんと困ればいい」

「せいせいした」

「ここは気楽でいいわ」

 

・・・なんて楽しげに暮らしてる秘密の場所

 

それでも さがしてほしくて

それでも みつけてほしくて

ほんとは もとの場所に帰りたくて

こっそり ため息ついたりしてるんじゃないかな

 

ある日 ひょっこり帰ってきた なくしものは

何事もなかったように装いながら

どこかまだ迷ってるようで

 

「ごめんね」って話しかけたら

「フンっ」て笑ったみたいな気がした