Stanza della Luna

雑多な詩集

雨音

雨音が屋根をたたく

「もう冬も終わるよ」と地面をぬらす

 

わかってる 春は近い

でも あと少しだけ このままがいい

 

4月から あなたがいない場所で生きる

 

悲しみに耐える力を下さい

一人でもちゃんと 笑って生きていけるように

あなたがいない場所でも 私らしくいられるように

 

眠れないこんな夜は 

あなたが好きと言った歌を流す

 

やわらかな風に似てる

風のようなあなたに似てる

 

あなたからたくさんもらった 勇気抱いて

悲しみに耐える力に変える

 

だからあと少し あと少し必要

準備期間 

緑が芽吹くための

 

記憶の重さ

みんなが覚えてること

私だけが覚えてなかったり

 

私が覚えてること

みんなは忘れてしまっていたり

 

同じ時を 過ごしていても

思い出は 同じじゃない

 

価値観は 人それぞれだから

それは 当たり前だけど

 

私にとって 大切な思い出

あなたが忘れてしまったと 知ったとき

 

かなしくて

心の片隅が 

小さくひび割れた

 

記憶の価値観も 人それぞれで

大切じゃないことは きっと忘れてしまう

 

あなたにとって どうでもいいこと

私には とても大切な思い出でも

 

Open Sky

何万人もの人波が 

どこかの神社に 押し寄せるころ

 

こんな郊外の片すみで 

見渡す限り 誰もいない

 

道くさばかりしてる犬と散歩

 冬の野原は 暖かく 透明に 広がる

 

そして 少し視線を上げると

遮るもののない 青い空が

 

Open Sky 白い雲の筋をまとって

吸いこむようでもなく まぶしいわけでもなく

どこまでも 頭上に浮かぶ 青い空

 

つめたい空気を吸い込んで 

体のすみまで 酸素が流れ

 

滞りつづけた何かが

この空に溶けてくよう

 

道くさばかりしてる犬と散歩

冬のシンフォニー 音もなく どこにも 眠ってる

 

そして枯れた草には もうすぐ

春のみどり 芽吹く 光のつぶ

 

Open Sky 何も遮るものもなくて

吸いこむようでもなく まぶしいわけでもなく 

ふんわりと 頭上に浮かぶ 青い空

さんぽみち

1月の川原沿いを 

ぶらぶらと歩く

 

枯れ草の間を 

深い青が

細く流れる 

 

見上げた空は

雲一つなくて

強い風に ゆられて

光の 青い波長が 

あふれてる

 

ぶらぶらと歩きながら

遠くを見て

深呼吸してみる

 

優しい麦わら色の

1月のさんぽみち

あのころの未来

からっぽの電話ボックスは

どこにも通じていない

 

あのころ緑の受話器と

シルバーのダイヤルで

どこにでもつながれたのに

 

21世紀のもしもボックス

電話ボックスの形をしていたのに

 

あのころ描いていた未来と

似ているようで 似ていない現在

見えない 言葉や画像が 空を飛び交ってる

 

その言葉を受信しながら 

あのころの未来で 私は生きる

Thinking of you

あなたのことばかり 考えているうち

もういくつもの 季節を見送った

 

あなたのことばかり 考えているうち

公園の木は すごく背が伸びた

 

あなたのことばかり考えているうち

渡り鳥は 暖かい国へ旅立った

 

あなたのことばかり考えているうち

町の景色も 少し変わった

 

 

あなたのことばかり考えているうち

新しい恋のチャンスを逃した

 

でも

あなたのことばかり考えていたから

いつもひとりぼっちには ならなかった

 

 

変わらないもの

変わらないものを さがして

さがしつかれて

時に 何をさがしてたのかも

わからなくなって

 

変わらないものは 日々のすき間に 垣間見えて

でも その姿を追いかけると そこには何もない

 

変わらないものを 信じて

愛や永遠を求めて 人は迷子になる

 

変わらないものなんてないと

受け止めてしまえば 楽になるのかな

 

私も 世界も 宇宙も 変わり続ける

 

それでも 日々のすき間に 垣間見える永遠が

私を惑わし さがし疲れて 

 

心のどこかで そんなものないと知りながら

どうしようもなく 求めている