Stanza della Luna

雑多な詩集

一番高い鉄塔にとまり

彼が世界を見渡している

 

彼は美しい

 

彼の翼は夜の闇より黒い

彼のくちばしはエボニーより滑らかで

彼の瞳は黒曜石よりつややかだ

 

でも 彼を見るとみんな嫌な顔をする

誰も彼をほめない

誰も彼を愛さない

 

彼の声はあんまりきれいじゃなくて
あんまり上手に歌えないからか

 

光るものが好きで
見つけたらすぐほしがるからか

 

彼が彼だから
好きになってもらえないのか

 

彼が生きるために
していることは悪か


彼の存在は
忌むべきものなのか

 

彼の自慢の
翼 くちばし 瞳

その美しさを
誰も否定しないが

 

彼は
いつも邪険にされる

 

一番高い鉄塔にとまり

世界を見渡している彼は

 

本当は

私なのか