Stanza della Luna

雑多な詩集

2023-01-01から1年間の記事一覧

愛しい空

少し淡く深くなった9月の朝の青綿雲がふわふわと彩る空はいつか見たヨーロッパの油絵 構図の半面に張り巡らされた蜘蛛の巣のような電線は完璧な自然に人間が施した 悪意のない暴力のよう 私はその空を見て電線も電柱もない完璧な空を想像する青はただ青く、…

着地

ある日 緑の風が吹いて 弟や妹がピンクの花びらを揺らして 行ってらっしゃいって笑った 緑の風はどこまでも 私と走りたがったの 気づいたら風がやんで 私はふんわり着地した おうちと同じ土のにおい 懐かしいにおい ここが旅の終わりなのか わからないけれど…

空へ

くるり くるくる くるん ふわり ふわふわ ふわん 花びらのワルツのDNA 小さな命は 空に向かって旅立つ準備 飛べるかな どこか見知らぬ場所に パパやママがくれた綿毛を せいいっぱい広げて あの空に

窓辺

あの日 柔らかな風が吹いて ピンクの花びらがワルツを踊った 小さな命が芽生えた午後の窓辺

一番高い鉄塔にとまり 彼が世界を見渡している 彼は美しい 彼の翼は夜の闇より黒い 彼のくちばしはエボニーより滑らかで 彼の瞳は黒曜石よりつややかだ でも 彼を見るとみんな嫌な顔をする 誰も彼をほめない 誰も彼を愛さない 彼の声はあんまりきれいじゃな…