Stanza della Luna

雑多な詩集

2021-01-01から1年間の記事一覧

僕の記憶

僕の最初の記憶は 冷たい雨に濡れた段ボールのにおい 寒くて さびしくて お腹がペコペコで 他にどうしようもなくて ただ鳴いていたんだ 僕の二番目の記憶は 白い壁と天井とミルク暖かくも 寒くもない がらんとした部屋で かわいたタオルに包まれて ようやく…

絶望

悲しさの本体が 自分でもわからないんだ カナヅチみたいに 沈んでいく自分は 自分じゃすくえない それだけね まるで10代の頃のように トゲだらけになって 自分が刺した誰かの痛みに 自分が血を流している 何かを求めているのに 求めてないと思ってる ささや…

つむぐ

たくさんの気持ちがよどんで うずまいて からまって あふれる たくさんの気持ちを言葉に つむごうとしている 私がいる つむいで 編んで ほどく つむいで 編んで ほどく 指先からにじむ血に 言葉が染まる だれかがつむいだ 言葉をたぐれば 安らかに 暖かく だ…

かなしいカナリア

あの人は暖かい 大きな手をしてる あの人の両手の中なら 張りめぐらしたバリアが消えて 小鳥みたいに眠れるって 思い始めたころ 「うまくいったんだ」 嬉しそうなあの人に 何も言えるはずないじゃない かわいそうなカナリア あなたはいつもかごの中で 一人で…

unknown good-bye

昔好きだった人が結婚したらしい 優しい話し方をする よく知ってる人と もう好きなんかじゃないから 悲しくはないけど 心の奥の うすいガラスのすみっこ 小さく音を立てて ひび割れた 人知れぬ小失恋 ”お似合いの二人”と心から思う なのに弱いすきま風みたい…