Stanza della Luna

雑多な詩集

perplexed

あなたの心なんて読めない

 

近づけたと思ったら、離れていくし

遠いと思ったら、近くにいたりする

 

駆け引きなのかもわからない

ただ振り回されて

ただ不安で

もうやめちゃおうかって思う

 

もうやめちゃえたら楽なんだけど

 

あなたが憎いような

もどかしさ

 

それでも

 

やっぱり 嫌いになるのは難しくて

本当にバカバカしいけど

また同じこと繰り返す

 

あなたの心なんて読めない

 

私の心

あなたにどれだけわかるのかな

 

 

 

 

散る

光なのか 雨なのか 時間なのか

 

桜の花びらは 音もなく散っている

 

あんなに軽く

空気にくるくると 手を振りながら

舞っている

 

小さくうすい 1ひらの花びらの重ささえ

宙にとどまることはできなくて

 

地面に降りる

音もなく

水面に降りる

音もなく

 

1ひらずつ

音もなく

1ひらずつ

音もなく

 

私は息をとめて

散る桜を見る

 

散っているのが

桜なのか

時なのか

わからなくなる

 

光なのか 雨なのか 時間なのか

私の心なのか

わからなくなる

さよなら

「すきです」と「さよなら」と言うのは どっちが難しいんだろう

好きだから 一緒にいた君は 悲しく顔曇らすだろう

 

降り始めた小雪が 冬のホタルみたいに舞うよ

君と見るものはいつも そんなふうにステキだったよね

 

さよなら 明日は君の僕でも 僕の君でもない

さよなら そのための勇気が 償いになるだろうか

 

僕たちは一緒じゃない方が 本当の自分でいられる

情熱が冷めるのも一緒なら こんなにつらくないのに

 

君といても心が うわの空になってしまって

君を傷つけたくなくて ついた嘘が僕を傷つけた

 

さよなら 明日は君の僕でも 僕の君でもない

さよなら 前に進む勇気 そう受け取って欲しいよ

 

Hurting you is the last thing that I want to do.

Please don't cry, please don't cry, baby...

憎んで忘れてもいいよ 僕が覚えているから

 

さよなら 明日は君の僕でも 僕の君でもない

さよなら そのための勇気が 償いになるだろうか

旅立ち

めったにもらわない花束だから

ドライフラワーにして残した

誰からもらった花なのか

もう忘れたころ

次の別れが来る

 

この町がこわくて

早く離れることを望んでた

 

窓から見える景色が

日常に変わったころ

旅立ちの時が来る

 

この町を離れる 勇気を下さい

 

不安が波のように押し寄せて

やさしい人の笑顔ばかり 浮かんでしまう

 

この町を離れる 勇気を下さい

 

やさしいことばは うれしい

やさしいことばは かなしい

やさしい思い出は うれしい

やさしい思い出は かなしい

 

やさしいことばも思い出も

元は日常のstruggle

また新しい日々がはじまる

 

だから大丈夫

きっと大丈夫

 

またあたらしく 頑張ればいい

 

この町を離れる 勇気はいらない

 この町は私の 一部になるから

 

雨の音がする 全てが穏やかに濡れる

昨日まで着てた真冬のセーターじゃ もう笑われる

だけど

 

そんなに急に春にならないで

 

やっぱり もう少し この町の日常を

もう少し 下さい

 

遠くから この町を愛する 強さを下さい

下弦の月

駐車場の空に浮かび上がる 

春の下弦の月

切れそうに細くて

消えそうに淡くて

ぼんやりと浮かぶ

 

悲しみや寂しさを受け止める

女神の手のひら

全ての涙を注ぐ杯

 

だけど今夜の月は

欠けたはずの満月と同じだけ

ぼんやりとした悲しみ、寂しさ、涙の影

抱えきれないほど映してる

 

ここにも私の涙を注ぐ場所はなくて

 

満月のような寂しさを胸に抱える

私とよく似た春の下弦の月

ぼんやりと浮かぶ

 

stories

ある日電車の 同じ車両で会った 

とめどなく涙を流していた人

赤信号の 道の向こうで花を 

大事そうに抱えて待っていた人

 

私と関わりのないはずの 

遠い生活の一コマなのに

 

そんな風に 街のどの風景も 切り取ればそれぞれの物語になる

そんな風に 街のどの風景も 痛いほど 悲しみや喜びにあふれている

 

一人バス待つ 重い荷物の老婆 

真っ黒に日焼けした交通整備員

上着を脱いで空仰ぐ営業マン 

ギターケース背負って笑う少年

 

この手で受け止めるには 重く 

通りすぎるには よく似すぎている

 

そんな風に 街のどの風景も 切り取ればそれぞれの物語になる

そんな風に 街のどの風景も 痛いほど 悲しみや喜びにあふれている

春の魔女

雪と氷に閉ざされた町に

優しい魔法が忍び込む

 

静かな夜に屋根を打つ雨音に

凍り付いた全てが

溶けだす気配満ちる

 

重く固い根雪も

やわらかな しずくになって

 

地面の中 音も立てず

小さな種が目を覚ます

 

縮こまった木々の枝が

花を咲かす準備を急ぎ出す

 

今年の春の魔女が 

町中に降り注ぐ最初の雨は

全てを優しく濡らして

氷の魔術は もう解ける頃

 

氷のとげが心に刺さった私は

身動きの取れない

長い冬に どこか

安住していたけれど

 

春の魔女が

この町に来る頃

私も旅立つ 準備を始める