Stanza della Luna

雑多な詩集

さよなら

「すきです」と「さよなら」と言うのは どっちが難しいんだろう 好きだから 一緒にいた君は 悲しく顔曇らすだろう 降り始めた小雪が 冬のホタルみたいに舞うよ 君と見るものはいつも そんなふうにステキだったよね さよなら 明日は君の僕でも 僕の君でもない…

旅立ち

めったにもらわない花束だから ドライフラワーにして残した 誰からもらった花なのか もう忘れたころ 次の別れが来る この町がこわくて 早く離れることを望んでた 窓から見える景色が 日常に変わったころ 旅立ちの時が来る この町を離れる 勇気を下さい 不安…

下弦の月

駐車場の空に浮かび上がる 春の下弦の月 切れそうに細くて 消えそうに淡くて ぼんやりと浮かぶ 悲しみや寂しさを受け止める 女神の手のひら 全ての涙を注ぐ杯 だけど今夜の月は 欠けたはずの満月と同じだけ ぼんやりとした悲しみ、寂しさ、涙の影を 抱えきれ…

stories

ある日電車の 同じ車両で会った とめどなく涙を流していた人 赤信号の 道の向こうで花を 大事そうに抱えて待っていた人 私と関わりのないはずの 遠い生活の一コマなのに そんな風に 街のどの風景も 切り取ればそれぞれの物語になる そんな風に 街のどの風景…

春の魔女

雪と氷に閉ざされた町に 優しい魔法が忍び込む 静かな夜に屋根を打つ雨音に 凍り付いた全てが 溶けだす気配満ちる 重く固い根雪も やわらかな しずくになって 地面の中 音も立てず 小さな種が目を覚ます 縮こまった木々の枝が 花を咲かす準備を急ぎ出す 今年…

思い出せない

更地に新しい建物が建つ ほんの数ヶ月前までそこに何があったのか 思い出せない 心をふるわせる コトバの綾が 確かに横切った なのにその模様が どうしても思い出せない 胸を焦がして想ってた人とすれ違う その人に焦がれたのか 自分で作り出した幻想に恋し…

器用貧乏

とりあえず たいていのことは それなりにできる あれこれと 手を出しては 自分を開拓 もう少し これをやる時間があればなあ・・・ あれも これも 中途半端 そしてパニックになる いわゆる器用貧乏 いろんなことに興味がある だけど だけど 何一つ 一流には出…

luna piena

遠くへ来た ここまで来た こんなに遠くまで 来たと思ってた 歩きつかれた私は 道ばたに腰を下ろす ぽっかり浮かんだ満月が 私を見ている 透き通った満月が 私を見ている うさぎなんかいない かぐや姫もいない でも 同じ月 ずっと同じ月が私を見ている こんな…

会いたくて 会えない人

心がちぎれるほど 寂しくて 恋しかった もう季節は変わり 傷口はふさがったように見えるけど 奥のどこかで今も 血がにじむような 痛みが消えずにいる 小高い坂の上から あなたの住む町が見える そして私は あなたの心のどこかに 今も私の住む場所があると信…

Far Away

ひとりになるために 遠くに来たけれど どこに行っても 何も変わらない しゃべり方 好きなテレビ ひねくれた笑顔 猫背 人目を気にするところも 夜明け前の空気が ぼんやりと染まり始めて どこからか朝が 漂ってくる 冬の花は 凍るような朝に咲く たとえ愚かだ…

Present

まだ風は冷たいのに 光がどこか透き通って 早咲きの花の香り ただよう 見たことのない小鳥が 梢で羽を休めてる 話しかけたら おしゃべりできそう It must be a present from angels, since it's your birthday, today! こんな空の下で生まれたひと その朝も…

I'm here

いつも叫んでた I'm here. I'm here. って いつか叫び疲れて 声もかれて それでもくり返してた I'm here. I'm here. って 遠く 果てない 森の片隅で 声を上げてるみたいに 何千、何万の窓の 小さな一つで 消えそうな 弱い光しか放てず それでも 誰かを呼んで…